山陰労災病院

メッセージ

本院の医師臨床研修プログラムの基本理念(方針)は、
 1、医師としての人格を涵養し、将来の専門性にかかわらず、全人的な幅広い基本的診療能力(知識、技能、態度)を身につけた臨床医を育成する。
 2、患者の視点に立ち、患者の気持ちを思いやることのできる医師を養成する。
 3、鳥取県並びに山陰地方の地域医療の特殊性を充分に考慮し、地域が一丸となった研修医教育に取り組む。
 4、研修医個人に着目したプログラムとする。
 5、マンツーマン方式を基本とした指導医体制の確立(指導医教育制度を含む)並びに適切な研修評価を実施する。

プログラムの具体的な内容について
 1、研修医は全員、卒後臨床研修センターに所属する。
 2、本院を「基幹型臨床研修病院」そして教育関連病院を「協力型臨床研修病院」並びに「研修協力施設」とする臨床研修病院群を形成する。
 3、ローテート研修を基本原則とし、
  1)必修科目:内科6ヶ月(1年次)、救急医療(救急基礎研修1ヶ月を含む)2年間を通じて救急外来で計3ヶ月、地域医療:1ヶ月
  2)選択必修科目:外科、麻酔科、小児科、産科婦人科、精神科のうち2科目を選択し、最低1ヶ月ローテートする。なお、これらの診療科を更に重視する研修医は選択科目として追加研修が可能である。
  3)地域医療は、市中の病院では経験しにくい山間部地域の特殊性に則した医療を経験・実践するため、在宅医療を含むへき地・離島医療研修を行う。
  4)残りの期間を選択科目として、本院(ならびに協力型臨床研修病院)の全診療科を 対象として研修医の自由な選択による研修を行う。
  5)労災病院の特殊性を生かし、産業医活動(産業保健総合支援センターや企業検診活動) の経験も選択が可能である。
 4、研修を開始する最初の1週間を利用してコメディカル部門を含む「プレローテーションカリキュラム」を行い本院のシステムを理解する。
 5、これらの研修実施に対して、到達目標(行動目標と経験目標)を掲げ、その到達度を各診療科(必修科目、選択必修科目、選択科目)プログラム終了時に評価を行う。
  1)研修医自身による自己評価
  2)指導医による評価
  3)第三者(看護師長等)評価 研修内容、種々の評価結果は全て研修ノート(ポートフォリオ)に記入保存する。また1年目終了時点と概ね1年6ヶ月時点で、卒後臨床研修センターまたは臨床研修管理委員会が評価し、不足している経験項目があれば2年目の最終選択ローテート期間で補うよう指導する。最終的に臨床研修管理委員会の評価をもとに、協力型臨床研修病院の研修担当責任者、看護部、当地医師会長などの第三者からなる臨床研修合同管理委員会の評価に基づいて、病院長が修了証書を授与する
 6、本プログラムでは研修医の健康管理、特に精神的なケアが十分になされるように、配慮するものとする。また、IT設備や教育用シミュレーター等を利用して研修医が充分な環境で研修できるよう配慮する。また、本院においては、医療安全管理部門が設置され、合わせて患者相談窓口の充実も図られており、「医療安全」に関する研修も充分に対応できる。

 本院は、鳥取県西部(米子市)に位置し、周囲には東に国立公園大山、北に隠岐島が浮かぶ日本海、西に穴道湖につながる中海を有し、きわめて風光明媚な環境にある。心にゆとりを持ってこの地にしっかりと根ざし、患者中心の医療を展開できると確信している。
 多くの研修医の本院のプログラムへの参加を期待している。

 山陰労災病院には政策病院という設立目的から、小児科、産婦人科がなく、当院周辺の米子医療センター、済生会境港総合病院、博愛病院、米子病院、そして鳥取大学医学部附属病院が協力病院となって、必要な科目が研修できる研修指定病院となりました。1年5名の定員で、1年次研修は山陰労災病院で、2年次研修のうち必須科目は当院で可能な科もありますが、協力病院で行い、選択プログラムとして上記6病院のどの科でも自由に選択できるという、研修医にとっては逆にメリットとなるような研修形態が可能となりました。山陰労災病院を拠点に移動しなければなりませんが、いろいろな病院のシステムをかいま見ることも、医師としての経験や人間形成に寄与すると考えます。当院は鳥取県西部地区では救急搬送患者が最も多く、各科とも地域の第一線で活躍しており実地医療が経験できるため、初期臨床研修には適していると自負しています。また平成26年度から念願の小児科、産婦人科を開設する事になりました。さらに密度の濃いレベルの高い研修が可能になるものと期待しています。地域医療のプログラムにおいては労災病院の特徴を生かし、産業医活動も選択可能です。指導医は徹底したマンツーマン方式で、学会・研究会の発表も行えるようにしています。3年目以降の後期臨床研修では2〜3年の予定で、平成27年度から小児科、産婦人科、リハビリテーション科、病理診断科を加えた19のプログラムを用意しています。山陰の風光明媚な場所での研修を希望される研修医をお待ちしています。

 『全国医師が選ぶ信頼の出来る病院ランキング』(日経メディカル、2004年)において、鳥取県下で1位に選んでいただいた当院の特色は、40歳以上の医師が70%という年齢構成にあります。このベテラン医師達が383床の規模でありながら年間約8000人もの救急患者を受け入れ、検査や治療、臨床研究の最前線に立っており、地域の患者様から大きな信頼を得ています。それゆえ質量ともに非常に豊富な症例を経験できることは、当院での研修の最大の利点であるといえます。
 新医師臨床研修制度が始まるに当たり、古くなっていた官舎は一部改修され、若手医員室にはコピー機、図書、インターネット回線などが配備され、女性専用の更衣室もできました。指導医は国の主催する指導医講習会を受講済みです。
 研修が見学で終わってしまわぬよう、研修医は積極的に診療業務や手技の習得に参加しています。指導医達は経験と技術を惜しみなく伝え、その熱意に応えるようトレーニングされています。カンファレンスも各科で充実しており、プレゼンテーション能力や問題解決型思考を習得していきます。
 2年も経てば、研修医たちは見違えるほど逞しくなり、これから高い志の下で医療に従事していくだけの覚悟を持った同士に成長していきます。水が合えば後期研修も可能です。地域医療志向の人でも、臨床のキャリアを積みたい志向の人でも、研究志向の人でも大歓迎です。共に切磋琢磨できる日々を楽しみにしています。

 当院は383床の中規模病院であり、いわゆるcommon diseaseを抱えた患者さんが

多く来院されます。初期研修が始まり2年間を終わろうとしていますが、たくさんの症例をバランス良く経験させていただいています。
 研修プログラムの特徴は、以下の3点。
1)救急研修は月に2回程度、土日の救急外来での日直を2年間通して行うこと。肉体的・精神的に負担の大きい夜間当直の義務がないこと。(宿直については各自が自主的に指導医の先生と一緒にしています)
2)2年次の12ヶ月は自由選択制で融通が利くこと。個人の要望に沿ってプログラムを組む事ができること。
3)各科研修終了時や日直ごとに経験した症例や指導医からの評価、コメント等をportfolio(レポート)に記載することで、今までどれくらいの経験を積んだかが一目で分かること。
 当院では指導医の先生方だけでなく、病院全体で研修医を育てようという姿勢を強く感じます。その気持ちに少しでも応えられるよう、精進したいと思います。

鳥取県臨床研修指定病院協議会
〒680-8570 鳥取県鳥取市東町1丁目220 (鳥取県福祉保健部健康医療局医療政策課内) TEL: 0857-26-7195 / FAX:0857-21-3048